【中学生】以上に知ってもらいたい短歌。『北原 白秋』③

花

北原 白秋(きたはら はくしゅう)②

1885~1942年 福岡県出身。 詩人、童謡作家、歌人。

白秋は、自由詩、短歌、長歌、詩文 (散文詩)、童謡、民謡、など、さまざまな形式を駆使した。

童謡歌詞は誰もが一度は聞いた詩が多い。(雨、雨降り、ゆりかごのうた、砂山、からたちの花、この道、ペチカ、待ちぼうけ)など

ここでは、短歌のみの紹介です。

北原 白秋(きたはら はくしゅう)短歌 ①

北原 白秋(きたはら はくしゅう)短歌 ②

 

蒼天あをぞらを見て驚かぬさかしびと見ておどろけやいにしへのごと 『雀の卵』

足曳の山の猟男さつをが火縄づつ取りて出で向ふ冬は来にけり

鶯やまれにあづさ下枝しもえだ傍目わきめすれども鳴く音しめらず 『白南風』

うつしくもいたもかなしきこの浅夜月にふたつの星潜り入る

月面をゑぐりてくらき色見れば裏ゆく星のありと思へなくに

耳いたむ妻とこもりて夜はふかし物のこまかにはじく雨あり

蹴爪に岩角がんかくをつかむ鷹一羽そのしもつ瀬ぞさをに渦巻く 『夢殿』

 

ピンクの菊

 

折ふしに冬木見えくる眼先まなさきもたちまち暗し虚しかりけり 『黒檜』

黒きの沈静にしてうつしけき、花をさまりて後にこそ観め

秋の蚊の耳もとちかくつぶやくにまたとりいでて蟵を吊らしむ 『牡丹の木』

内隠うちこもるふかき牡丹のありやうは花ちり方に観きとつたへよ

雲海のいただきの峰くだり来し少女一人に家揺りとよむ

何ならず黒き眼鏡にみなぎるは早鞆の瀬のたぎつ渦潮

行く水の目にとどまらぬ青水沫あをみなわ鶺鴒の尾は触れにたりけり 『渓流唱』

世を挙げて心傲ると歳久し天地の譴怒いかりいただきにけり

碓氷嶺うすひねの南おもてとなりにけりくだりつつ思ふ春のふかきを 『海阪』

 

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