薔薇
バラ科、バラ属のとげのある木の総称である。ヨーロッパ、中国、日本の野生種を交配したもので多種多様な種類や系統があります。大きく分けて木立ち性、半つる性、つるの3タイプと、ミニバラなどです。『うばら』または『いばら(茨)』が、「ばら」に略されたといわれています。「薔薇」と記して「しょうび」「そうび」と読ませる場合もあります。
歌語としては「うばら」「うまら」の古称で『万葉集』に二首あり、古来から身近な花としていたことがうかがえます。
薔薇 短歌
枳の棘原刈り除け倉立てむ屎遠くまれ櫛造る刀自 忌部首 『万葉集』
道の辺の荊の末に這ほ豆のからまる君を別れか行かむ 丈部鳥 『万葉集』
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる 正岡子規
ああ四月西の国には薔薇さく日東の国にさくらにほふ日 堀口大学
たそがれの鼻歌よりも薔薇よりも悪事やさしく身に華やぎぬ 斎藤史
薔薇と襤褸と赤子はひとつものならめ涸れたる風の林を過ぎゐる 葛原妙子
薔薇花にリボンをつけて持て来るいつの日とてもよき贈りもの 前川佐美雄
みづからの光のごとき明るさをささげて咲けりくれなゐの薔薇 佐藤佐太郎
薔薇抱いて湯に沈むときあふれたるかなしき音を人知るなゆめ 岡井隆
花の名を読めば異国の声となる吾ら逃避のごとく薔薇園 安永蕗子
ばらがきを明るい雨が通りすぎるなにもかもみんな単純にかへれ 加藤克巳
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