崑崙花（こんろんか）
宮沢賢治の人生と作品の魅力
宮沢賢治（1896年8月27日～1933年9月21日）は、詩人、童話作家、農業技術者、そして理想主義者として知られる人物です。彼の生涯は短くも濃密で、自然、宇宙、そして人間の生き方に深い洞察を与えた作品群は、現代でも多くの人々に感動を与えています。
岩手県花巻市に生まれた賢治は、豊かな自然環境の中で育ちました。幼少期から自然や文学への強い関心を示し、盛岡高校等農林学校（現・岩手大学）に進学。家族との対立や、親友・保阪嘉内との交流が、賢治の思想形成や作品に影響を与えた。ことも重要なポイントです。
卒業後、地元の花巻農学校で教師として働き、その間の生活改善に力を入れました。 賢治は自ら畑を耕し、農業の実践を通じて農村の発展を目指しました。描かれる農村の生活や自然観に深く迫っています。
文学の特徴と代表作
宮沢賢治の文学は、幻想的な世界観と現実的なテーマが融合しています。以下は代表作の一部です：
- 『銀河鉄道の夜』
宇宙を旅するジョバンニとカンパネルラの物語で、生と死、友情、救済がテーマになっています。 - 『雨ニモマケズ』
日記に書かれた詩で、「他人を思いやる強い意志」と「自分の弱さを受け入れる姿勢」が象徴的です。 - 『注文の多い料理店』苦痛
と寓話性が特徴の短編で、現実と幻想が交錯する世界が展開します。
宮沢賢治が現代に伝えるメッセージ
宮沢賢治の作品は、現代の読者に「自然との調和」や「他者への思いやり」といった一般的なテーマを問いかけます。また、彼の人生の本質が理想を追求する姿勢の象徴であり、多くの人々に希望と勇気を与えます。
宮沢賢治と短歌
宮沢賢治の短歌創作は、1909(明2)年、中学入学の頃から始まった。石川啄木や北原白秋の影響を受けています。1912(明4)年の中学時代から1918(大7)年、盛岡高等農林学校卒業頃までは短歌の創作を主としていました。
現在見られる賢治の短歌は、「歌稿 A」「歌稿B」と仮称される手書きの未発表原稿によるものが大部分です。
宮沢 賢治 歌集
2006年 新編宮沢賢治歌集 単行本
宮沢 賢治 短歌
あすのあさは夜あけぬまへに発つわれなり母は鳥の骨など煮てあり。『宮沢賢治全集』
うしろよりにらむものありうしろよりわれらをにらむ青きものあり。
今日よりぞ/分析はじまる/瓦斯の火の/しづかに青くこゝろまぎれぬ。
朽ちのこりし/玉菜の茎を青ぞらに/投げあげにつゝ/春は来にけり。
雲ひくき峠越ゆれば/(いもうとのつめたきなきがほ)/丘と野原と
この坂は霧のなかより/おほいなる/舌のごとくにあらはれにけり。
シベリアの汽車に乗りたるこゝちにて/晴れたる朝の教室に/疾む。
すゝきの穂/みな立ちあがり/くるひたる /楽器のごとく百舌は飛び去る。
清吉が/校長となりし/学校は/朝の黄雲に洗はれてあり
なつかしきおもひでありぬ目薬のしみたる白きいたみの奥に。
ひがしぞら/かゞやきませど丘はなほ/うめばちさうの夢をたもちつ。
深み行きてはては底なき淵となる/夕ぐれぞらのふるひかなしも。
みなそこの/黒き藻はみな月光に/あやしき腕を/さしのぶるなり。
屋根に来てそらに息せんうごかざるアルカリいろの雲よかなしも。
ラムプもちならびてあれば青々と廊下のはてに木の芽ゆれたり
わがために/待合室に灯をつけて/駅夫は問ひぬいづち行くやと。
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