【薔薇の短歌】『11選』知っておきたい古典~現代短歌!

薔薇

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薔薇について

薔薇といえば、ヨーロッパ・中国・日本の野生種を園芸用に改良された、つる性の低木を指します。花形や花色も多彩で、株立ちの低木、つる性、匍匐ほふく性、15~50cmのミニチュアなどがあります。

北半球温帯域に広く自生していて、アジアから中近東ヨーロッパへ、また極東から北アメリカへと伝わりました。ちなみに南半球にはバラは自生しないそうです。

日本では古来「薔薇」と記して、「しょうび」「そうび」と読ませる場合がありました。歌語としては、「うばら」「うまら」 の古称で読み『万葉集』には二首あります。古来から身近な花としていたことが示されています。

棘原うばら〉は、トゲのある植物を総称する言葉として使用されていました。〈うまら〉は、野生種の白い花を咲かせるもので、現在、野ばらと呼ばれている品種に近いと考えられています。

薔薇の入った歌

からたち棘原うばら刈りけ倉立てむくそ遠くまれくし造る刀自とじ  忌部首

道のうまらうれほ豆のからまる君をはかれか行かむ  丈部鳥

くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる  正岡子規

ああ四月西の国には薔薇さく日東の国にさくらにはふ日  堀口大学

たそがれの鼻唄よりも薔薇よりも悪事やさしく身に華やぎぬ  斎藤史

薔薇と襤褸らんぬと赤子はひとつものならめ涸れたる風の林を過ぎゐる  葛原妙子

薔薇花にリボンをつけて持て来るいつの日とてもよき贈りもの  前川佐美雄

みづからの光のごとき明るさをささげて咲けりくれなゐの薔薇  佐藤佐太郎

薔薇抱いて湯に沈むときあふれたるかなしき音を人知るなゆめ  岡井隆

花の名を読めば異国の声となる吾ら逃避のごとく薔薇園  安永蕗子

ばらがきを明るい雨が通りすぎるなにもかもみんな単純にかへれ  加藤克巳

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