【雪の歌】『20選』 知っておきたい古典~現代短歌!

雪と葉牡丹

雪と葉牡丹

雪と短歌

雪は冬を文学表現する中で最も愛されたものです。『万葉集』時代から、冬景色の中心に様々詠われています。『万葉集』の最終歌は大伴家持の「雪」の歌です。

雪の歌

わが里に大雪降れり大原の古りにし里に降らまくはのち  天武天皇

わが岡の霊に言ひて降らしめし雪の 推けしそこに散りけむ  藤原夫人

降る雪の白髪までに大君に仕へまつれば貴くもあるか  橘諸兄

新しき年の始の初春の今日降る雪のいや重け吉事  大伴家持

あさぼらけ有明ありあけの月と見るまでによしのの里にふれる白雪  坂上是則

まつ人の今もきたらばいかぶせむ踏ままくをしきにはの雪かな  和泉式部

うすくこき野辺のみとりの若草に跡まで見ゆる雪のむらぎえ  宮内卿

山ふかみ春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水たまみづ  式子內親王

さゆる日のしぐれの後の夕山にうす雪ふりて雲ぞ晴行く  京極為兼

飯乞ふと里にも出でずなりにけり昨日も今日も雪の降れゝば  良寛

たのしみは雪ふるよさり酒の糟あぶりて食ひて火にあたる時  橘曙覧

春をまつ人にや見せむなたのうらの雪の中なる花さくら鯛  大隈言道

子を負ひて/雪の吹き入る停車場に/われ見送りし妻の眉かな  石川啄木

君かへす朝の舗石しきいしさくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ  北原白秋

あまぎらし雪ふる見ればいひをくふ囚人しうじんのこころわれに湧きたり 斎藤茂吉

雪おける日本アルプスしののめのさやけさは人死なすべし 窪田空穂

あらはなるうなじに流れ雪ふればささやき告ぐる妹の如しと  近藤芳美

白きうさぎ雪の山より出でて来て殺されたればを開き居り  斎藤史

おほいなる雪山いま全盲 かがやくそらのもとにめしひたり  葛原妙子

雪はまひるの眉かざらむにひとが傘さすならわれも傘をささうよ  塚本邦雄

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