【辰巳泰子】知っておきたい古典~現代短歌!

タニウツギ

タニウツギ

辰巳泰子(たつみやすこ)

1966年~ 大阪府東淀川区出身。歌人。

1981年、大阪府立北野高等学校に入学。1985年、京都府立大学女子短期大学部国語科に入学。同年「短歌人」に入会。1987年『家族の季』で第33回角川短歌賞佳作。大学卒業後、教材制作会社の営業職、中学校国語教師を務める。

1989年、第1歌集『紅い花』で徹底した自我の存在を肉体的、感覚的で臨場感溢れる世界を構築した。1990年、同歌集で、第34回現代歌人協会賞を受賞。当時最年少の24歳であった。

1995年、第2歌集『アト ム・ハート・マザー』では、自らの夫と我が子と極めて卑近な他者を中心とする素材を駆使し、人がともすれば隠しがちの、あからさまな愛と、物事がうまくかみ合わない生活を暴露するように謳いあげた。

1998年、夫と編集プロダクション海門イデアを設立。

1999~2001年、文芸誌「月鞠」を発行。

2002年、新宿ロフトプラスワンにて短歌朗読ライブを行う。

2008年、短歌結社「月鞠の会」を結成し、主宰となる。

辰巳泰子 著書

1989年  歌集『紅い花』 砂子屋書房

1995年  歌集『アトム・ハート・マザー』  雁書館

1998年  歌集『仙川心中』 砂子屋書房

2000年 歌集『恐山からの手紙』  ながらみ書房

2005年 歌集『セイレーン』 邑書林

2008年 『辰巳泰子集』 邑書林

2012年 歌集『いっしょにお茶を』  沖積舎

 

辰巳泰子 短歌

後方から覗ける陰が空豆のさやにも似たるモデルいとしも 『紅い花』

午後。くちといふうすき粘膜にてやはく他人 の顔とつながる

乳ふさをろくでなしにもふふませて桜終はらす雨を見てゐる

「はい」と答へて醒めるさびしさぞ大声で呼ばるる夢に大声をもて

まへをゆく日傘のをんなともしかりあをき蛍のくびすぢをして

わがまへにどんぶり鉢の味噌汁をすする男を父と呼ぶなり

あぢさゐの意によろめきうずくまる独りになりて産んでもよきか 『アトム・ハート・マザー』

どう夕焼けていいかわからない空のやう子を抱きどこまでも一人の私

七月ななつきの子とをかさねつまは眠る 繋ぎとめらるるはどちら

半夏生過ぎてはるばるさむかりき私につまありし日の水 『仙川心中』

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