【中学生】以上に知ってもらいたい短歌。『三枝 昂之』

フエゴ 菊

三枝 昂之(さいぐさ たかゆき)

1944年~ 山梨県出身。 歌人、文芸評論家。歌誌「りとむ」主宰。日本歌人クラブ名誉会長。山梨県立文学館館長。宮中歌会始の選者。妻は、歌人の今野寿美。弟は歌人の三枝浩樹。

1966年、早大闘争の敗北を起点 に、反体制的心情を歌った、第一歌集『やさしき志士達の世界へ』を発表。自己の体験と理念を表現した歌が多い。1992年「りとむ」を創刊。批評家としても優れて、活躍している。

 

学園旗われの論理にひるがえりたれど五月の青年群よ 『やさしき志士達の世界へ』

寒村の寺のひとりとひえびえとわかつ心とこころごころを

詩歌ひしめき眠る机上の火の帽子より凛然と奔れ 雄牛よ

霜は花と咲きて凍れる冬の詩を星とならざる射手にささげむ

まみなみの岡井隆ヘ 赤軍の九人へ 地中海のカミュヘ

汚れたる友の眼鏡に暁けの雨ひかれり若さつつましすぎる

突破して行かざる恋の一千の玉藻なす髪沖までなびく『水の覇権』

百たびもないし真青まさおき鳥の道わたるたれかは衰えながら

あかるさの雪ながれよりひとりとてなし終の敵・終なる味方『地の燠』

革命と恋―神々は一対の上肢をわれに易々あたえ

鳩舎もつ家の夕焼けどのように昏れてもいまだ戦後は匂う『暦学』

さまざまな契機をつかみかつのがし手はふたひらのあやめのごとし

 

 

 

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