【筏井嘉一】『7選』知っておきたい古典~現代短歌!

オルラヤ

オルラヤ

筏井嘉一 (いかだいかいち) 

1899~1971年。富山県出身。歌人。

高岡中学校を卒業。詩人、童謡作家、歌人である北原白秋の『桐の花』に感銘を受ける。1914年(大正3年)短歌雑誌『日光』に入会。

活動期は主に東京下町に小学校教師として住んだ。妻子・教え子など一庶民としての哀歓を歌い上げた。 北原白秋に師事するも、独行。

昭和初頭、 前川佐美雄らと新興歌人連盟を結び、石川信雄らと「エスプリ」を創刊。『新風十人』 に参加。歌集『荒栲』出版で著名歌人になった。 口語短歌の先進でもある。戦後は「創生」 を主宰。『離雨荘雑歌』を出した。

 

筏井嘉一 短歌

息あらくせまりて強ふるわれの眼は胸にもりあがる乳を見にけり 『荒栲』

おもひきり猫のあたまをぶつたたきすべなくてわれは坐りけらしも

夏ははや河の瀬泳ぐ少年の鮎なす肢体うち勢ひつつ

寝るまへのこころすなほになりきたりふところに猫をいれて枕す

冬の家にのぞみ杳かなる児のこゑやサイタサイタサクラガサイタ

勝までと軍歌ばかりをどならされひもじさ耐へき学童はみな 『離雨荘雑歌』

敗戦の餓ゑ迫る日に生れいでてこの児は乳を吸ひやまぬかも

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