柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
生没年未詳。(660~724年頃)飛鳥時代の歌人。経歴については不明なところも多い。現在まで「百人一首」などで知られ『万葉集』の代表的な歌人であり、優れた歌人のひとりであったといえる。
赤らひく膚も触れずて寝たれども心を異しくわが思はなくに 『万葉集』
安騎の野に宿る旅人うちなびきいも寝らめやも古思ふに
秋山に落つる黄葉しましくはな散りまがひそ妹があたり見む
秋山の黄葉をしげみ惑ひぬる妹を求めむ山道知らずも
あみの浦に船乗りすらむ娘子らが玉裳の裾に潮満つらむか
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ
大君は神にしいませば天雲の雷の上に廬りせるかも
撮影ろいち
笹の葉はみ山もさやにさやげども我は妹思ふ別れ来ぬれば
潮気立つ荒磯にはあれど行く水の過ぎにし妹が形見とそ来し
日並皇子の尊の馬並めてみ狩立たしし時は来向かふ
東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ
衾道を引出の山に妹を置きて山道を行けば生けりともなし
見れど飽かぬ吉野の川の常滑の絶ゆる事なくまたかへり見む
武庫の海のにはよくあらし漁する海人の釣船波の上ゆ見ゆ
もののふの八十宇治川の網代木にいさよふ波の行くへ知らずも
我が衣いろどり染めむ味酒三室のは黄葉しにけり
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