葡萄
山葡萄、野葡萄といった野生種。甲州、巨峰などの和種。デラウェア、マスカット・オブ・アレキサンドリアなどの西洋葡萄まで多く品種がある。日本へは中国からの渡来。葡萄は古歌に所見がないようだ。
葡萄の短歌
手づくりの葡萄の酒を君に強ひ都の歌を乞ひまつるかな 山川登美子
とびやすき葡萄ぶどうの汁で汚すなかれ虐げられし少年の歌を 寺山修司
むらさきの葡萄のたねはとほき世のアナクレオンの喉を塞ぎき 斎藤茂吉
夜の葡萄唇にふれつつ思ふことおほかたは世に秘すべくあるらし 葛原妙子
口中に一粒の葡萄を潰したりすなわちわが目ふと暗きかも 葛原妙子
原不安と謂ふはなになる 赤色の葡萄液充つるタンクのたぐひか 葛原妙子
黒葡萄しづくやみたり敗戦のかの日より幾億のしらつゆ 塚本邦雄
食むべかる葡萄を前にたまゆらのいのち惜しみて長し戦後は 島田修二
沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ 斎藤茂吉
童貞のするどき指に房もげば葡萄のみどりしたたるばかり 春日井建
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