稲葉 京子 (いなば きょうこ)
1933~2016年 愛知県出身 歌人。
本名は大竹京子。大野誠夫に師事。「砂廊」(のち「作風」)に入る。「中部短歌」にも入会。 歌誌「短歌」選者。
稲葉京子 短歌
いとしめば人形作りが魂を入れざりし春のひなを買ひ来ぬ 『ガラスの檻』
昏れ残る障子明かりの花のいろ馬酔木のかたに春は来てゐし 『柊の門』
今朝散りし木犀の花を踏みてゆく十五センチの子の靴裏よ
生きかはり生きかはりても科ありや永遠に雉鳩の声にて鳴けり 『槐の傘』
白き萩散るなべに透きて遊べるは飯たべこぼすかの日の吾子か
玉虫の羽をもて厨子を貼りし者の不穏のこころひと日見えゐつ
わが青年よ若かりし日のわれもまた天道を焦げ落ちたる雲雀
小さなる秋かたつむりみづからを曳くごとくして路上をゆくも 『桜花の領』
1月の夕べの水に降りむとし水鳥は細き足を垂れたり 『しろがねの笙』
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