清水房雄 (しみずふさお)
1915年~2017年 千葉県出身。 歌人。本名、渡辺弘一郎。
東京文理科大学卒。1938年『アララギ』に入会。土屋文明・五味保義を師事。九州小倉で国語教師、のち予科練の教官になる。戦後、都立高校で教師、東京都立九段高等学校教頭、東京都立北園高等学校校長、昭和女子大学教授などを歴任。
第一歌集『一去集』は、私小説のような異色の歌集で、自伝的な内容を含み、亡妻の年譜が付いている。
清水房雄 短歌
雨の中に仰ぎ見る一五五五号室いのちせまりて妻ねむる部屋 『一去集』
先に死ぬしあはせなどを語りあひ遊びに似つる去年までの日よ
小さくなりし一つ乳房に触れにけり命終りてなほあたたかし
手風琴一ついだきて家出でし弟を待つながき夜々あり
昼なかも電燈ともしこやりをる老いびとのへを吾は去り来つ
放射能のこともいつしか言はなくなり雨が降る一月一日の暁
磯の上に焚ける焰のすみとはる光さびしきみちのくに在り『又日ゝ』
戦ひに果つべき命を長らへてと記しし日すら遠くなりたり 『散散小吟集』
戦中派すなはちミリタリストといふ論理単純にして明快なり 『夏天何人吟』
二十年はもつと言はれし入歯のこと吾にその要ありなしのこと
やりかけし仕事を措きて出で来たり午後の予定の会食の会
清水房雄 著作
- 『一去集 歌集』白玉書房 (1963年)
- 『又日々 歌集』白玉書房 (1971年)
- 『長塚節の秀歌 覚書』短歌新聞社(現代短歌鑑賞シリーズ) (1984年)
- 『天南 歌集』短歌新聞社(現代短歌全集)(1987年)
- 『子規漢詩の周辺』明治書院 (1996年)
- 『旻天何人吟』不識書院 (1997年)
- 『斎藤茂吉と土屋文明 その場合場合』明治書院 (1999年)
- 『碌々散吟集 歌集』短歌研究社 (2005年)
- 『已哉微吟 歌集』角川短歌叢書 (2007年)
- 『如丘小吟 自選歌集』不識書院 (2007年)
- 『蹌踉途上吟』不識書院 (2009年)
- 『残余小吟』不識書院 (2012年)
- 『残吟抄』不識書院 (2013年) 〈参考: ウィキペディア〉
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