高麗人参(朝鮮人参)
民間薬漢方薬で人参といえば高麗人参(朝鮮人参)のことです。日本に入ってきたのは奈良時代の頃、当時は貴族が健康食材として使用していました。
江戸時代にも高価で品薄だったため、徳川吉宗の命により高麗人参の栽培も始まったと伝えられています。
八百屋で売られている普通の人参はセリ科ですが、高麗人参はウコギ科の植物です。
原産地の韓国でも野生のものは極めて稀で、現在売られているものは全て栽培されているものです。
現存する最古の薬物書である『神農本草経』には「肝、心、脾、肺、腎、の五臓の元気を増すことができると書かれています。また、腎と心に蓄えられる精神の働きを良くし、肝と肺に蓄えられている気の働きを一定にするとも記されています。
心臓の驚きや動悸を止め、目を良く見えるようにし、知恵を増し、頭の働きを良くする。長く服用すると、体の動きが軽くなって長生きができる。
薬草として最高の評価がされています。
『神農本草経』とは
中国最古の薬物書。草根木皮のみならず、鉱物・動物に由来する約365の薬物が収載されている。
薬効の強さ別に薬物が3つに分類されている。
不老目的の長期服用が可能な無毒の上薬120種類
作用が強く治療用だが有毒で長期服用が禁忌の下薬125種類
両者の中間である中薬120種類
植・動・鉱物等の自然分類法に特徴があります。
最近の研究でも次のような効果
1.消化器系では胃酸欠乏症の胃炎に有効で、胃痛を鎮め食欲を増し胃粘膜の病変が早期に回復する。
2.循環器系では高血圧、低血圧、心筋栄養障害、冠状動脈硬化、心臓神経症、心力衰弱などに有効である。
3.神経系では、神経衰弱、ノイローゼに対し、体力を増し睡眠は良好となり頭痛が取れる。
4.呼吸器、肺疾患には抵抗力を増し、肺活量増し、体重を増加し、呼吸困難や咳を軽減する。
5.新陳代謝に関しては、とりわけ糖尿病に対して、インシュリンと同じく有効性が認められる。
6.皮膚病、湿疹や禿髪症に有効である。
7.有効成分として40種類のサポニンが確認されています。
体質によっては
神経に対しては、鎮静作用と興奮作用。
血圧については、上げる作用と下げる作用。
それぞれの成分が人参には含まれていることは分かり、服用する人の体質によって対応が異なると考えられています。
人参はどんな人が服用しても良いと思われるかもしれませんが、実際上は体の弱い臓器の運動が不活発な人に適した薬です。
民間療法として
民間療法では人参の根の乾燥品10g~15gを1日量として煎じて服用します。生姜やナツメを入れると服用しやすくなります。
45°のホワイトリカー(果実酒用)180cc につき10~15gの人参を入れ、生姜やナツメを少し入れて1ヶ月ぐらい置いてから一日さかずき1~3杯を服用する方法もあります。
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