秋について
秋は現在の太陽暦では9月から11月までをいいます。天文学上なら、秋分から冬至までを秋といいます。夏の太陽は次第に南下し、昼は短く夜が長くなっていきます。9月初め頃から10月初めまで、幾度か台風を迎えることもあります。
秋晴れの快晴の日が多くなります。稲が黄金色になり、栗、梨、葡萄などの実りの季節ともいえます。色鮮やかな紅葉が広がり、落葉の時がくれば、季節は冬に入ります。
詩歌の秋
詩歌が秋の到来が表す言葉として「秋風」が使われます。季節の変化を風で表現するのも秋の特徴です。
また、秋はアキという音から「飽き」に通じるので、男女の関係が冷えてくることを暗示する表現として「秋」の語を使ったりします。
秋の短歌
馬追虫の髭のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想ひ見るべし 長塚節
更にきびしく更にはげしく生くべしと骨にひびきて秋鳴りにけり 斎藤史
もの言へば声みな透る秋日ざしわれの怒りもはかなくなりぬ 中城ふみ子
処女にて身に深く持つ浄き卵秋の日吾の心熱くす 富小路禎子
ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲 佐佐木信綱
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ 若山牧水
かすが野に押してるつきのほがらかにあきのゆふべとなりにけるかも 会津八一
ざわざわとゐし斑猫の失せてより秋天二十日晴れきはまれる 石川不二子
ゆく秋の川びんびんと冷え緊まる夕岸を行き鎮めがたきぞ 佐佐木幸綱
秋と云ふ生ものの牙夕風の中より見えて淋しかりけり 与謝野晶子
かつかつと秋は空さへひびきつつわがはらわたも乾くなるベし 斎藤史
ぞろぞろと鳥けだものをひきつれて秋晴の街にあそび行きたし 前川佐美雄
わが抱く思想はすべて/金なきに因するごとし/秋の風吹く 石川啄木
秋立ちて幾日もあらねばこの寝ぬる朝明の風は手本寒しも 安貴王
秋きぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる 藤原敏行
おしなべて物を思はぬ人にさへ心をつくる秋のはつ風 西行
秋立つは水にかも似る/洗はれて/思ひことごと新しくなる 石川啄木
手を洗ふ水つめたきに今朝の秋や身を省みて虔しくあり 木下利玄
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