たばこ税見直しで暮らしと財源はどう変わる?若者・家計・社会の最新議論

たばこ

たばこ

たばこ税の見直しが私たちの生活に与える影響とは

あなたはたばこ税について、どの程度意識したことがあるでしょうか?昨今のインフレや生活必需品の値上げで、家計のやりくりに苦労している方も増えました。特に若い世代や子育て世帯にとっては「少しでも出費を減らしたい」との思いが強まっているはずです。そんななか、「たばこ税の見直し」が連日新聞やニュースを賑わせています。

政府は、2026年度から加熱式たばこの増税と、紙巻きたばこへの増税を防衛費の財源確保の一環として検討しています。約2000億円もの新たな税収を見込む一方で、「加熱式たばこの税負担を軽くして若年層の生活を守る方がいいのでは?」といった声も出ています。

都市部の20~30代では加熱式たばこの利用率が男性54%、女性78%に上ります。今の税制だと加熱式・紙巻きどちらも同じくらい負担が増えることことになります。しかし、あえて紙巻きたばこを重点的に増税し、加熱式に課税を軽くすれば、若い人の家計支援になり、健康被害や医療費の削減にも役立つという考え方が台頭しています。

例えば加熱式に1円だけ課税しても税収は年間343億円。紙巻きたばこの税収(675億円)の半分ほどですが、その分、若者の可処分所得は年間3万円増え、生活の質向上につながる試算も出ています。

こうした動きの裏には、「タバコは百害あって一利なし」だけでは片付けられない現実があります。紙巻きタバコによる経済損失は1人当たり年間4300円にも及ぶというデータがあり、有害物質削減や医療現場の負担減など、社会全体で見ても見直しによる効果は決して小さくありません。「紙巻きたばこ増税×加熱式たばこ課税軽減政策」が三方よしの施策といわれるゆえんです。

たばこ税見直しの基本的な意味や背景

近年、たばこ税をめぐる政策論争が活発化しています。背景には主に以下の3つの社会的要請があります。

① 財源確保へのプレッシャー
政府の防衛費拡充など新規財源ニーズが高まる中、恒常的かつ安定した税収源である「たばこ税」に白羽の矢が立っています。2026年度以降はたばこ税の増税で約2000億円の追加財源を見込んでいます。

② 社会保障費の増大と世代間格差の是正
少子高齢化が進み、医療費や年金など社会保障費が国家財政を圧迫しています。とくに喫煙関連疾患による医療費は膨らむ一方です。たばこ税収の一部を社会保障にに充て、世代間の公平な分配を目指す取り組みが求められています。

③ 健康被害抑制のための行動変容
2018年時点で日本人成人の喫煙率は男女平均16.7%(厚生労働省「国民健康・栄養調査」)。紙巻きたばこによる健康被害や経済損失、医療費増大を抑えるべく、有害物質の少ない加熱式たばこへ転換を促す政策誘導が議論されています。

注目すべき背景は「加熱式たばこを利用している若者が増えている」「加熱式の税負担を軽くすることで、家計支援と健康リスク軽減を両立できるのではないか?」という新しい視点です。都市部の20~30代の加熱式使用率は、男性で54%、女性で78%にも達しています(新時代戦略研究所・2023年調査)。

リスクの少ない選択肢(加熱式たばこ)への移行を促進しつつ、税収を維持・向上するにはどうすればよいか?これが2020年代のたばこ税見直し論議の大きな特徴です。

さらに、加熱式は「煙や臭いが強くない」「室内や公共空間でも比較的受け入れられやすい」とされ、非喫煙者への受動喫煙リスクも減少する傾向があります。しかし、有害性が完全に排除されているわけではないため、「紙巻きたばこへの重点的増税」「加熱式の課税軽減」という社会実験的なアプローチには、メリット・デメリットの両面があります。

国の税制調査会等では、「短期的な税収と財源」「中期的な医療費・社会保障削減」「長期的な健康増進・勤労生産性向上」…と、多層的・時間軸を変えた効果分析が行われ、どれほどバランス良い制度設計ができるかが焦点になっています。

海外ではイギリスや韓国でも加熱式たばこと紙巻きたばこで異なる課税ルールを導入。日本でも先進国としてふさわしいバランスの模索が続いています。

個人的な感想

たばこ税から脱線するようですが、今や喫煙者自体が非常に少なくなり、街角でたばこを吸う姿を見ることもほとんどなくなりました。喫煙可能な場所もずいぶんと限られて、「歩きたばこ」さえ珍しい時代です。私自身も、体調不良やストレスをきっかけに一度はたばこをやめたものの、健康を取り戻すとまた時々吸いたくなり、再び口にしてしまっています。

タバコと一緒にコーヒーや甘いお菓子を楽しむのも、ついストレスが溜まった時のちょっとした息抜き。しかし、体を壊さない限りやめようと思えない自分がいます。それが「ダメなこと」と頭ではわかっているけれど、ストレス発散や一服の時間が心の安らぎや楽しみにもなっている。だからやめるには、また何か大きなきっかけが必要だと感じています。

このように、一度は離れても生活の中に根付く行為を完全になくすことは難しい。それがタバコという存在の一面なのかもしれません。

現状の問題点や課題

たばこ税を巡る現状には、次のような難題が複雑に絡み合っています。

第一に、税制の公平性と逆進性の問題です。たばこ税は所得に関係なく一律に課されるため、低所得層や若年層では、たばこの購入が生活に与える負担が相対的に大きくなります。紙巻きたばこだけでなく、加熱式たばこも普及する中で、どちらをどれだけ増税し、どう家計や消費行動に影響するかのシミュレーションも重要です。

第二に、税収の安定性・持続性です。禁煙運動や健康意識の高まりを背景に、全国的に喫煙率は低下傾向が続いています。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2020年)によれば、喫煙率は男性27.1%、女性7.6%と5年前よりもそれぞれ2ポイントほど減少。喫煙人口が減ることで、歳入の柱と見られてきたたばこ税収も将来的な先細りが懸念されます。

第三に、健康被害と医療費の増大です。厚生労働省の調査によると、紙巻きたばこによる経済損失(医療費・労働損失などを含む)は、年間約4,300億円と推計されています(2019年「たばこ関連疾患の経済的損失」報告より)。

第四に、税制による消費誘導の是非。加熱式たばこへの移行を税で後押しすれば、(1)税収維持、(2)家計負担の軽減、(3)医療現場の削減を目論める反面、「加熱式も健康被害ゼロではない」「二重基準を設ける正当性」など議論があります。

さらに、たばこ産業自体が地域経済や雇用、地方財政とも密接に関わり、急激な増税や需要変化が地域社会に与える影響や、たばこ農家・小売業者の生活についても配慮が必要です。

 

◆参照元一覧◆

  1. 厚生労働省「国民健康・栄養調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/17-20.html
  2. 財務省「たばこ税」公式ページ https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/commodity/041.htm
  3. 新時代戦略研究所調査

コメント