『万葉集』万人の歌を集めた、現存する最古の歌集。

すすき

すすき

現存する最古の歌集

約1300年前に詠まれた奈良時代までの歌の集大成。

20巻4516首からなる。最も古い歌は、仁徳天皇の時代のもので、最も新しいものは759年(天平宝字3)正月一日の大伴家持おおとものやかもちの歌である。

『万葉集』は「万葉仮名まんようがな」で記されています。日本民族には文字がなく、 中国から伝わってきた漢字を用いて日本語を表しました。

 

成 立

759年(天平宝字三)以後に20巻の形となり、宝亀年間(770~780)に現行本が完成とする説が有力。

 

万葉集の意味

よろず(多く)の歌のあつまりを意味するが、「葉」には「代」の 意味であるとする説が有力で、万世にわたって長く語り続けようという祝福の気持ちも込められている。

 

編 者

複数の撰者が想定されが、最終的にまとめた編纂へんさん者としては 平安時代に有力だった橘 諸兄たちばなのもろえ説、契沖けいちゅう が唱えた大伴家持説などがある。

 

内 容

作者は天皇から貴族、官僚、僧侶、兵士、農漁夫等の庶民にいたるまで幅広い。

時代の幅も、真偽は別として 16代仁徳天皇から47代淳仁の代までの数百年、地域も陸奥国から筑紫国に及ぶ。

『古歌集』『柿本朝臣人麻呂かきのもとあそんひとまろ歌集』『類聚歌林るいじゅうかりん』 『高橋虫麻呂たかはしのむしまろ歌集』などの先行歌集を参考にして成立した歌の集大成。

全体としては上流階級の作品が多いが、庶民の生活に密着した歌も集められているところが勅撰集などにみられない大きな特徴。

柿本人麻呂、山部赤人やまべのあかひと、大伴家持、大伴旅人おおとものたびとなどの大歌人だけでなく、無名の歌人(下級官人や庶民)、作者不詳の歌が含まれているところが万葉集に輝きを持たせている。

 

背景となる万葉集の時代は、日本の歴史において激動と変革の時代。

反逆者の名のもと に殺された皇子を思う姉の慟哭、 防人の夫を案じる妻の直情、冷徹な権力者の意外な横顔、東国の生活から謳い上げられた純朴な心。地方色豊かな民謡に見られるのどかさなど、 感情を率直に謳い上げる伸びやかな「ますらをぶり」が基調となっている。

 

巻頭は雄略天皇ゆうりゃくてんのうの長歌

もよ みもち 掘串ふくしもよ み掘串ぶくし持ち このをかに 菜ます 家聞かな らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 吾こそれ しきなべて 吾とそせ 吾にこそは らめ 家をも名をも

 

万葉集、最後をかざる大伴家持の歌

あたらしき 年の始の 初春の 今日降る雪の いや吉事

 

紅葉

紅葉

 

歌の分類

相聞・挽歌・雑歌の3つの部立が基本。

相聞は、恋歌。

挽歌は、本来は死者の棺を挽くときに歌ったもので、死者を悼む歌。

雑歌は、この二つに属さない行幸・宴会などの歌。

このほかに表現態度 (正述心緒ただにおもいをのぶる寄物陳思ものによせておもいをのぶる譬喩ひゆ歌) や内容(羈旅きりょ歌・有曲縁歌ゆえんあるうた)や歌 体(長歌・旋頭歌など)によって 分類された巻もある。

 

歌 体

全体の9割以上が短歌、約4200首。長歌で約260首。旋頭歌が60首、仏足石歌が1首、連歌が1首ある。歌以外に漢詩4首、漢文22遍がある。

 

短歌 『5.7.5.7.7』

長歌 『5.7.5.7.・・・5.7.7』

旋頭歌 『5.7.7.5.7.7』

仏足石歌 『5.7.5.7.7.7』

連歌 『5.7.5の長句に7.7の短句で応じる』

 

東歌あずまうた

『万葉集』巻14に収められる230余首の短歌の総称で、すべて作者不詳。遠江・駿河 から陸奥に及ぶ12国、古代東国諸国の民謡である。生活に密着した、庶民の素朴な情感が、東国の方言も交えて詠われている。

 

防人歌さきもりうた

防人歌が92首収められているのは『万葉集』巻20で、その大部分は、755年(天平勝宝7)2月に「相替あいかはりて筑紫つくしつかはさるる諸国の防人等の歌」84首と巻14の「東歌」の国 名不詳の歌の中に、防人歌5首がある。

三年交替で辺境守備に赴いた まま、帰らぬ人となる防人も多かった。 防人歌には、そうした防人の、故郷を出 発するときの離別の情や、難波へ向かう 途中での肉親を思う情などが詠まれている。

 

地 名

万葉集は地名が歌の中に取り入れられているのも一つの特徴

北は陸奥山から隼人の瀬戸まで47か所。

 

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