紀 貫之(きのつらゆき)
?~945年? 下野守・紀本道の孫。紀望行の子。平安時代初期の歌人。
三十六歌仙の一人。従兄弟にあたる紀友則ほか、凡河内躬恒・壬生忠岑らととも に『古今和歌集』を編纂。100首を超える自詠が『古今和歌集』に入っている。中国から影響をうけた漢詩文が教養として尊重されていた時代に、仮名序を用いた序文『やまと歌は人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける・・・』は、あまりにも有名。当代歌壇第 一人者としての実力を示した。
『土佐日記』の作者。
浮きて行く紅葉の色のこきからに川さへ深くみえわたるかな 『古今和歌集』
霞たち木の芽も春の雪ふれば花なき里も花ぞちりける
さくら花ちりぬるかぜのなごりには水なき空に浪ぞたちける
袖ひちてむすびし水のこほれるを春立けふの風やとくらむ
ひとはいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
影見れば波の底なるひさかたの空漕ぎ渡るわれぞわびしき 『土佐日記』
篝火のかげしるければ烏羽玉のよかはのそこは水ももえけり 『貫之集』
水底に影しうつれば紅葉ばの色もふかくや成りまさるらん
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