石原純 (いしはらじゅん)
1881~1947年 東京出身。理論物理学者、歌人。本名、純。
正岡子規『歌よみに与ふる書』を一高時代に読んだことで作歌をはじめ、「馬酔木」や「アララギ」の創刊に加わって伊藤左千夫に師事した。
東北帝国大学助教授時代にドイツ留学。アインシュタインに就いて相対性原理を研究テーマとした。帰国後東北大学教授になり、「相対性原理、万有引力及び量子論の研究」で帝国学士院恩賜賞を受ける。
1921(大10)年、妻子を持つ身ながら「アララギ」同人であった歌人・原阿佐緒と恋愛事件を起こし、東北大学教授の職を辞職。
以後、相対性理論の紹介者として活躍し、1922年には、アインシュタインの来日講演の通訳をした。阿佐緒と同棲は続き、同じ頃、島木赤彦の「アララギ」 から離反して「日光」創刊に加わり、後に 「立像」や「新短歌」などを創刊した。
抒情的 詠風の顕著な作品が多い。
石原純 短歌
雨降れば/機械油のたちこめて/実験室のただにひそまる。
おもむろに面あげて山を我が眺たり。/山のおもての斑らにひかれる。
ゆふぐらき蚕飼の部屋に、/桑の葉の/匂ひをふかく嗅ぐも。わびしく。
ゆふひかりみちゐる空に、/そそり立つ山の黒きに/我れは対へり。
わが病めば、/こゝろかなしく来しひとを/われを離れてかへすべからず。『畿日』
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