【雨宮 雅子】『8選』 知っておきたい古典~現代短歌!

サイネリア ピンク

サイネリア ピンク

雨宮雅子(あめみやまさこ) 

1929年~2014年 東京都生まれ 歌人。

川上小夜子と、その後、香川進に師事。個人誌「鴎尾しび」および歌誌「雅歌がか」を発行。信仰と闘病体験から、生死の意識からくる歌を詠む。

 

雨宮雅子 短歌

地を歩む足裏のみの確かさに遠世の蝉のこゑくだりくる 『鶴の夜明けぬ』

灯にさらす胡桃の五つ掌に鳴りてあるいは鳥の五つの頭蓋

みづみづと流れつきたる藻の草をわが煩悩の足裏に踏む

近づきて額さびしけれ一木の白梅三分ほどの明るさ  『悲神』

照らされていましばらくは浄からむ額もちし人ら焚火に寄れる

熟れてゐる果実のかたへ静物となるべく秘法われに教へよ 『秘法』

跪くかたちをなせる石ひとつ月はしづけく照らし出だしぬ

基督を付せしピラトの長き夜につづく春夜のやみを踏みゆく 『雲の午後』

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