【永田和宏】知っておきたい古典~現代短歌!

紅葉

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永田和宏(ながたかずひろ)

1947年~ 滋賀県生まれ 歌人。細胞生物学者、京都大学名誉教授、京都産業大学名誉教授。夫人、河野裕子(歌人)長男、永田淳(歌人)長女、永田紅(歌人)。

短歌結社「塔」主宰。京大在学中、高安国世たかやすくによに師事。短歌結社「塔」に入会。後「塔」主宰。

『メビウスの地平』が第1歌集。

永田和宏 著作

1975年 歌集『メビウスの地平』茱萸叢書

1977年 歌集『黄金分割』沖積舎

1981年 評論集『表現の吃水 定型短歌論』而立書房

1981年 歌集『無限軌道』雁書館

1986年 評論集『解析短歌論 喩と読者』而立書房

1986年 歌集『やぐるま』雁書館

1991年 時評集『同時代の横顔』砂子屋書房

1996年 歌集『華氏』雁書館

1998年 歌集『饗庭』砂子屋書房

2001年 歌集『荒神』砂子屋書房

2003年 歌集『風位』短歌研究社

2005年 歌集『百万遍界隈』青磁社

2007年 歌集『後の日々』角川書店

2007年 『作歌のヒント』NHK出版

2008年『タンパク質の一生』岩波新書

2009年 歌集『日和』砂子屋書房

2011年 エッセイ集『もうすぐ夏至だ』白水社

2012年『歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年』新潮社

2012年 歌集『夏・二〇一〇』青磁社

2013年 『近代秀歌』岩波新書

2013年 エッセイ集『新樹滴滴』白水社

2014年 『現代秀歌』岩波新書

2015年 『人生の節目で読んでほしい短歌』NHK出版新書

2016年 エッセイ集『あの午後の椅子』白水社

2017年 『生命の内と外』新潮選書

2017年 歌集『午後の庭』角川書店

2018年 『知の体力』新潮新書

2018年 歌集『某月某日』本阿弥書店

2019年『象徴のうた』文藝春秋社

2021年 歌集『置行堀』現代短歌社

〈参考〉 フリー百科事典

永田和宏 短歌

あなた・海・くちづけ・海ね うつくしきことばに逢えり夜の踊り場 『メビウスの地平』

あの胸が岬のように遠かった。畜生! いつまでおれの少年

音楽へなだれんとするあやうさの・・・・闇の深処に花揺らぐまで

駆けてくる髪の速度を受けとめてわが胸青き地平をなせり

きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり

ステージの光錐ライト・コーンとらえられ彼も海へは還れぬひとり

背を抱けば四肢かろうじて耐えているなだれおつるを紅葉と呼べり

ひとひらのレモンをきみは とおい昼の花火のようにまわしていたが

噴水のむこうのきみに夕焼けをかえさんとしてわれはくさはら

水の裏よりかなかな鳴けるピアニシモ 夏逝くときのうひとに告げにし

スバルしずかに梢を渡りつつありと、はろばろと美し古典力学『黄金分割』

レントゲン撮られ来しかば欅らの裸形も見えて昏き夕映え

天秤は神のてのひら秋の陽の密度しずかに測られいたる 『やぐるま』

背後より触るればあわれてのひらの大きさに乳房は創られたりき

はるか廻る成層圏のみずぐるま矢車をくらき風過ぎにけり

むこうむきに女尿ゆまりす黄の花の揺らげる闇にわれを待たせて

たんぽぽとおなじ高さにみておればチェルノブイリか春のかげろう 『華氏』

追悼の文といえどもほのぼのと342と打ちて三四二と変換なお

なにゆえにやや身構えて入りゆける日本人街日本語の渦

風渡るたびめくられて色変える谷の紅葉は人を沈まする『饗庭』

吸い込みて息吐くときに光るならば蛍の小さき肺のつゆけさ

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