民間療法はすべての医療の原点
近代医学も漢方医学も民間療法から生まれてきたものです。
いつ頃、誰がどういう風にして見つけたのは不明ですが、経験を元にして代々伝わってきたものが最も多く、ある地方などの共同体の中で代々受け継がれてきたもの、また、ある家族の秘伝のように使われているものが伝わってきたと考えられます。
広く知られていないもの数多くあります。
祖先たちは病気になったり怪我をした時に、自分の知っている身の回りにある物で直そうとしました。ある食べ物を食べると下痢をするとか、また逆に便秘になるとか。
そういった経験から、次は便秘の時には便の排泄を促す食べ物を食べ、下痢の時は排泄を抑える食べ物を食べるなど、これらの食物を治療のために利用したと思われます。
民間療法はこのようにして出来上がったものです。そのうち巫女的な役割の人がまじないや占いなどに使った例もあるとおもいます。
次第に医療として使うようになったと考えられます。
民間療法の方法や用量について
民間療法はそれがある人に効いたからといって誰にでも効くというものではありません。どういう人に効いてどういう人には効かないという法則がわかってないので、仮に a という薬が効かなかったら b なら効くくというようなことも言えないのです。
民間療法ではそれが自分に合うかどうかを自分で試さなければならないことになります。調子がよいときは続けて服用することですが、調子が悪いと思ったらすぐに他の方法に変えるべきです。例えばアロエが便秘症の人には有効ですが、下痢気味の人にはかえって害になります。
センブリが毛生え薬になることを聞いて長い間服用し続けた人が、実はセンブリの煎汁を頭皮につけるのが正しい方法だったという例などです。
春の七草や草餅は薬としての目的よりは、風習となって残っているものもあります。
風邪薬として用いられる漢方薬の葛根湯は7種の成分からできています。その中の葛根だけ取り上げて、葛湯が風邪に効くといった例もあります。
西洋薬と漢方薬
西洋薬は病気を見て病名に応じた薬が使われます。
漢方薬は身近な食材などを加工した「生薬」をいくつか組み合わせて作られています。数千年前に中国で生まれた伝統医学(中医学)が日本に伝えられ日本の気候と日本人に合わせて独自に発展してきたものを漢方と言います。同じように中国から韓国に伝わり独自に発展したものは「韓医学」と言います。漢方薬は人を見て一つの病気でも患者さんによって全く違うものを処方することもあります。患者さんの状態や体質によって漢方薬を選びます。その診断方法は「四診」と言って時間をかけて舌を見たり、脈を取ったり、お腹を触ったり、性格や好き嫌いまで患者さんからできるだけたくさんの情報を引き出します。その人がどんな状態なのか見極めます。漢方では具合が悪くなった原因は身体だけでなく心も関係していると考えます。身体本来の機能を高める手助けをしてくれのは漢方薬です。
漢方薬の粉末の薬と煎じ薬
昔から飲まれていた漢方薬は植物の葉や根などを乾燥させた薬草、(生薬)を煮出して作る薬です。最近見かける漢方薬は粉末(エキス剤)のものが一般です。お医者さんで処方されるものはほとんどこのタイプでこれをエキス剤と言います。これは生薬エキス成分を凝縮して乳糖などの賦形剤に染み込ませて顆粒状にしたものです。
煎じ薬は薬草を煮だしたようなもので、体内に吸収されやすく感覚的には粉末(エキス剤)1.5から2倍ほど効果が高いといわれます。
エキス剤もそのまま飲むよりも、お湯に溶くなどして吸収と効きめを上げる事ができます。時間がない時は、水でなくぬるま湯で口の中で溶かすようにして飲み込むのもよいとおもいます。
漢方薬の副作用
民間療法も漢方薬も天然の素材からできているので副作用はないと思っている人もいるようですが残念ながら副作用のない薬はないです。食べ合わせの悪い食材があるように漢方薬にも飲み合わせやその人に合わないものもあります。例えば『甘草』『麻黄』『大横』『附子』などはカリウムの低下や発疹、かゆみ、不眠、胃の不快感や食欲不振などが出ることがあります。
処方された以外の漢方薬や他の薬サプリメントの併用で間接的肺炎を起こすことなどの危険性が増すという報告もあります。
ドラッグストアで購入して気軽に飲んでいる『葛根湯』や『麻黄湯』などにもやはり副作用の心配はあります。
自己判断で同じ漢方薬をずっと飲み続けてるとかえって症状が悪くなることもあります。「なんとなく効きそう」「友人に勧められて」など素人判断で複数の種類を飲むのは避けて欲しいです。
特に高齢者は注意が必要です漢方薬を飲んで少しでもおかしいなと思ったらすぐにすぐかかりつけ医か薬局で相談してください。
漢方薬は空腹時に飲むべきか?
漢方薬の原料である生薬は、シソや生姜、お茶など身近にある食材やスパイスと共通するものがたくさんあります。食事の内容と競合したり過剰に摂り過ぎてしまうことを防ぐためにも漢方薬は原則としてお腹が空っぽの空腹時に飲んだ方がいいです。
飲むタイミングの目安は食後2時間から食前30分です。ただし空腹時は漢方薬を飲むと胃の調子は悪くなるというような場合は食後に飲んでもらったり量を減らしたりすることもあります。冷たくして飲んだ方が良い漢方薬もあります。種類やその人の体調によっても飲み方は変わっていきます。
自分で判断しないで薬局屋お医者さんとよく相談してください。
また西洋薬を含め、お茶やコーヒー牛乳ジュースなどと一緒に飲むのはやめてください。薬効成分の吸収を妨げないようにするためです。
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