【巴里】の歌『5選』知っておきたい古典~現代短歌!

夏の桜並木

夏の桜並木

巴里(パリ)

パリは、明治時代以降の日本人にとって、近代西欧の象徴であり、憧れの対象でした。開国を迎えた日本は、ヨーロッパ文化、特にフランス文化に強く影響を受け、その中心地であるパリは特別な存在として位置づけられていました。パリは「揺れども沈まず」という市の紋章を掲げ、逆境にも屈しない精神を象徴しています。この都市は古くから美術や文学、音楽の中心地であり、その魅力は「世界のパリ」として、各国の人々を惹きつけてきました。

パリは文学の分野でも数多くの作品に登場しています。例えば、シャルル・ボードレールが書いた『パリの憂鬱』は、パリの街並みとその中で生きる人々の感情を描写した詩的な作品です。また、ジュール・クレマンもパリを舞台に数多くの物語を書き、その街の魅力を存分に伝えました。このように、パリは古くから文学の舞台となり、時を超えて新しい文化や芸術を生み出してきたのです。

パリの風景は、その文化的な魅力をさらに強めています。エッフェル塔やミラボー橋、セーヌ川など、これらの名所はパリを象徴するものです。詩人アポリネールは、セーヌ川の流れる風景を作品の中で美しく描き、読者にパリの情景を強く印象づけました。また、マロニエの並木道を歩けば、街角からシャンソンが流れる風景に出会うこともあります。このような日常の中に、パリの文化が息づいています。

フランスの趣味や文化は、戦前の日本に大きく影響を与えました。特に文学、音楽、映画の分野で、フランス文化は日本人に受け入れられ、パリはその象徴となりました。フランスの文学作品が日本語に翻訳され、フランスの映画が日本の映画館で上映されるなど、パリは遠く離れた日本においても人々の心を掴み続けました。

パリに対する憧れは、短歌や和歌にも表れています。日本の歌人たちは、パリの風景や雰囲気に感銘を受け、その感動を詩に託しました。例えば、エッフェル塔やセーヌ川の景色が、日本の風景とは全く異なる新鮮な美しさを持っていたことが、短歌に詠まれることもありました。こうした作品は、パリの魅力を異国の視点から描き出し、その文化的な深みをさらに強調しています。

日本とパリの結びつきは、近代化の過程でさらに深まっていきました。日本人はパリの芸術や文化に触れることで、自国の文化を見つめ直し、さらなる発展を目指しました。特に、パリの美術やファッション、音楽は、日本の文化に新しい視点を与え、日本の芸術や文学にも大きな影響を与えました。

現代においても、パリは依然として世界中の人々を魅了し続けています。日本人にとっても、パリは特別な場所であり、その文化的な影響は今も強く残っています。

巴里 短歌

巴里パリイなるオペラの前の大海おほうみにわれもただよふ夏の夕ぐれ 与謝野晶子

ノートルダムの屋上にして石刻の怪鳥けてうに並び眺めるセーヌ 岡本かの子

キリストはけふは生れき東京蒼きも巴里のごとくに楽の音きこゆ 斎藤茂吉

こよひ巴里に蒼き霜ふり睡らざる悪童ランボーの悪の眼澄めり 塚本邦雄

熱き湯にちておもへばランボーの死のきはに断ち切られたる脚 塚本邦雄

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