【山田 富士郎】『9選』 知っておきたい古典~現代短歌!

稲穂

稲 穂

山田 富士郎 (やまだ ふじろう)

 1950年~  新潟県生まれ。 歌人。

新潟県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。1985年に未来短歌会に入会。岡井隆に師事。

1990年、第一歌集『アビー・ロードを夢みて』刊行。翌年、第35回現代歌人協会賞を受賞。知識人的であり、また大衆的な親しみを同時に感じさせる詠風。

1999年、新潟県在住の超結社研究会「うたの会」を立ち上げ。

 

山田 富士郎 歌集

1990年 歌集『アビー・ロードを夢みて』 雁書館

2001年 歌集『羚羊譚』 雁書館

2005年 『山田富士郎歌集』 【現代短歌文庫 (57)】 砂子屋書房

2017年 歌集『商品とゆめ』 砂子屋書房

山田 富士郎 短歌

悪意はもう時代遅れだ花柄の透明の傘街にふはふは 『アビー・ロードを夢みて』

大いなる緬羊の腹のしたにすむここちこすれ郷里の冬は

兄妹のくちづけのごとやさしかるひかり降る墓地 手放しに泣く

刻々に茜褪せゆく水の面へと蛇這ひすすむ 遅刻しさうだ

死ににける人との逢ひはただ一度早朝野球の投手対打者

新宿駅西口コインロッカーの中のひとつは海の音する

空のまほらかがやきわたる雲の群千年くらゐは待ってみせるさ

ときをりは指さし入れてたしかめる俺のポケットの中の青空

業平のなみだぞこほる東京は巨大な鏡性別不明の

 

 

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