【小泉史昭】『7選』知っておきたい古典~現代短歌!

夏の桜並木

夏の桜並木

小泉史昭(こいずみふみあき)

1993年に「ミラクル・ボイス」という作品で短歌研究新人賞を受賞した歌人です。1996年刊行の第一歌集となっています。彼の歌は、言葉を巧みに組み合わせて、現実と想像の境目を曖昧にする独特な世界を作り出しています。その中で、現実の出来事にちょっとした皮肉や風刺を加え、少しだけ「毒」とも言えるような要素を混ぜるのが特徴です。これによって、小泉の短歌は読む人に強い印象を与え、時には深く考えさせる力を持っています。

彼の短歌には読後に残る独特の苦みや余韻があり、それが魅力の一つとなっています。歌集『夕木霊』では、そんな彼の才能が存分に発揮されており、読者に新しい視点や考え方を提供しています。

小泉史昭 短歌

高下駄の片減かたへりりなくて七癖のひとつを下駄箱に秘めおきつ 『ミラクル・ボイス』

鯉のぼりの鯉を欠いたる矢車が全速力で回転しをり

物差しではかるたましひ一寸にいくらか足りぬ皿の白魚

超音波めがね洗浄器のなかの水にもそつと春が来てゐる

むらぎもの値「時価」とかきさらぎの割烹に吊るし切りの鮟鱇

手に職をできることなら金輪際涸れることなき水芸を手に

愛に飢ゑゐし記憶の視野にふりしきる雪よ林檎の歯形錆色

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