四賀 光子(しが みつこ)
1885年4月21日~1976年3月23日 長野県生まれ。歌人。
本名、有賀みつ。長野で小学校教師を務めているときに、教師として転任してきた太田水穂と出会い、水穂の「この花会」に参加。作歌をはじめる。東京女子高等師範を卒業後、水穂と結婚。当初「創作」に歌を発表していたが、1915年(大正4)年の「潮音」創刊と共に主要同人に。その後、水穂と「潮音」を支える。
詠風としては、水穂の目指す「日本的象徴」の影響で、日常生活を詠む歌が少なく、人間的寂しさや悲しさを、自然の風物に寄せた心理的な象徴技法で感情表現している。
四賀 光子 短歌
貨車一つおきすてゝありぬ停車場のレールいくすぢも光るひるの日『藤の実』
かすみ立つ野辺の墾道ひとすぢに来はてけるかも家を忘れて
停車場の柵の黒木にちる花と思ひてひらくわがパラソルを
さびしさは拗ねてゐし子がしみじみと夕日の窓に読書する声 『朝月』
ひぐらしの一つが啼けば二つ啼き山みな声となりて明けゆく 『麻ぎぬ』
風そよぐ花にももろし生きて今日逢ふよろこびにゆらぐ心は 『双飛燕』
きれいきれいと花火見てやりほめてやるここにも祖母の仕事ありしか 『白き湾』
黒松の防風林をふちとして一湾は銀の氷を充たしたり
畳かへて今日よりわれのものとなる君が机にまづ何をよまん
たそがれの冬野を走る貨物車は戸口なくして只黒き箱 『青き谷』
今日も亦もずの高音に誘はれて聞き入りて居し本持ちしまま 『遠潮騒』
四賀 光子 著作
- 和歌作者の為に 作家と鑑賞と』木鐸社 1930
- 『作歌と鑑賞和歌初心者の為に』松栄堂書店 1934
- 『朝月 歌集』潮音社 1938
- 『子を思ふ母の和歌』愛之事業社 1943
- 『伝統と現代和歌』人文書院 1943
- 『伝統と和歌』京都印書館 1946
- 『麻ぎぬ』京都印書館 1948
- 『鎌倉雑記 和歌随筆』京都印書館 1948
- 『白き湾 四賀光子歌集』近藤書店 1957 のち短歌新聞社文庫
- 『四賀光子全歌集』春秋社 1961
- 『行く心帰る心 随筆』春秋社 1966
- 『花紅葉 米寿記念文集』柏葉書院 1972
- 『定本四賀光子全歌集』柏葉書院 1976 〈出典: ウィキペディア〉
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