前田 透 (まえだ とおる)
1914年~1984年 東京生まれ。 歌人。
1938年、東京帝国大学経済学部(東大経済学部)を卒業。同1938年、「詩歌」同人、のち主宰。扶桑海上(現三井住友海上)入社。翌年1月、台湾歩兵第2連隊補充隊に入隊。経理部幹部候補生となり東京陸軍経理学校に入学。1940年、同校卒業。中国、フィリ ピン、インドネシア各地を転戦、それらの戦争体験と戦後体験が生涯をかけてのテー マとなる。
昭和21年父・夕暮の主宰歌誌「詩歌」を復刊し継承する。
前田 透 歌集
1953第 一歌集『漂流の季節』 白玉書房
- 1957年 第二歌集『断章』 ユリイカ
1968年 第三歌集『煙樹』 新星書房
1975年 第四歌集『銅の天』 角川書店
1980年 第五歌集『冬すでに過ぐ』 角川書店
1982年 第六歌集『天の金雀枝』 角川書店
1984年 『前田透全歌集』 短歌新聞社
前田 透 短歌
漂泊のはてに日本にかへり来て生き行くも またさすらはむため 『漂流の季節』
椰子林の青きは燃ゆるごとくにて月出づれば敗戦の隊を点呼す
夕陽射す淀川岸に烟突の並びて立てば雲くらく見ゆ
病める子が小さき花火遊ぶさまはかなくきよし夕光の庭 『断章』
街路樹の樹冠をこえて白曝れし広州見ゆわが後半生の都市 『煙樹』
紅旗たかき楼に上れば風乾き我が兵たりし大陸白し
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