【介護の悩みを解決するために】
~ショートステイを活用した新しい家族介護~
高齢社会の今、介護を続けるご家族の悩みは絶えません。「疲れが取れない」「休みたいけど預け先がない」「自分ひとりだと限界」など、心身ともに大きな負担を感じている方は多いでしょう。こうしたときに心強い味方となるのが「ショートステイ(短期入所)」です。今回は、ショートステイの種類や利用方法、実際にどう家族と本人の支えになるのかという視点で、具体的かつ実践的なアクションプランと、ありがちな反論や疑問点、さらに、どこまで有効かまで丁寧にまとめていきます。

数人の知り合いがショートステイに通っています。
それぞれにサービスが違うように聞きます。
参考に教えてください。

ショートステイには
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護があります。簡単に説明致します。
①短期入所生活介護
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)やショートステイ専門の施設に数日から数週間入所します。
入浴や食事など、日常生活上の介護や機能訓練を受けながら生活します。
利用者が自宅にこもりきりにならないようにしたり、孤独感を解消したり、心身機能の継持回復などを目的にしています。
また、家族の介護の負担を軽くするためにも利用したいサービスです。
要支援1・2と認定された人は要介護状態になることを予防するために利用することが可能。(介護予防短期入所生活介護)

介護保険給付で利用できるのは連続して30日までです。1ヶ月の支給限度額が決まっていますので、限度を超えた分は自己負担になります。
早めに予約を

ショートステイの利用者ははとても多いです。
特に週末や連続する祝日などは予約が厳しく、希望通りの日程、日数で利用できない場合もあります。
ケアマネージャーに早めに相談をし、ケアプランの中で早めに予約をしてもらいましょう。
②短期入所療養介護
医師や看護師がいる老健(介護老人保健施設・介護療養型老人保健施設)
医療機関などの施設(介護療養病床・老人性認知症疾患療養病床)に短期間入所しその施設で行われる。
看護、医学的な管理が必要な介護や機能訓練、その他に必要な医療や日常生活上の介助を受けながら生活します。
要支援1・2と認定された人は、要介護状態になることを予防するために利用することができます。(介護予防短期入所療養介護)

こちらも、短期入所療養介護を介護保険給付で利用できるのは、連続して30日までです。
1ヶ月の支給限度額が決まっていますので限度額を超えた分は自己負担となります。
1. 介護の悩み解決!
介護は、愛する家族のために心を尽くす行為ですが、毎日ずっと続けていると精神的にも体力的にも辛さが蓄積されていきます。そのため、介護する側が「自分を犠牲にし過ぎてしまう」状態を防ぐのはとても大切です。そこで、“ショートステイ”という仕組みは家族介護のみなさんにとって新しい力となります。
(1)まず『ショートステイ』を知ることが最初の一歩
ショートステイとは、要介護者や要支援者が数日から数週間、施設に短期間入所し、専門スタッフや医療・看護職から生活全般の介護や訓練、見守りを受けることができるサービスです。大きく分けて「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があります。
- **短期入所生活介護(特別養護老人ホームなどが実施)**は入浴や食事、日常生活上の介助や機能訓練、レクリエーションなどを受けながら生活します。
- **短期入所療養介護(老人保健施設や医療機関等が実施)**は医療・看護職による管理のもと、医学的な観点から必要な介護や訓練、リハビリ、療養段階でのケアが受けられます。
このようなサービスは「家族の介護力を補う」だけでなく、「利用者ご本人の気分転換」「自宅で引きこもりがちな高齢者の社会参加」、また「心身機能の維持回復」など、様々なメリットがもたらされます。
(2)利用までの流れを押さえる:ケアマネとの連携がカギ
ショートステイは、原則として介護保険の認定(要支援1・2や要介護1~5)が必要です。利用したい場合は、まず担当のケアマネージャーに相談し、ケアプランの中に組み込んでもらいましょう。人気の施設や日程は特に週末や連休になると埋まるので、なるべく早めに予約調整をするのがおすすめです。
- 連続して利用できるのは最大30日まで(介護保険内)。
- 1ヶ月ごとに支給限度額が設けられており、オーバー分は自己負担。
- 人気日程はすぐ埋まりがちなので早めの相談・計画が大事!
(3)どんな人が利用できる?どう変わる?
高齢の親を抱えた家族が、急な用事や仕事、冠婚葬祭、リフレッシュ休暇などの際にショートステイを活用することで、「一時的に自分も家族もリセットできる」のが最大のポイントです。
例えば――
- 介護者が病気や仕事で数日間介護できない
- 介護が続き、心身をリフレッシュしたい
- 利用者本人に社会参加や新しい経験を積ませたい
- 今後の在宅生活をより長く続けるために機能回復や気分転換が必要
…といったケースで特に効果的です。
(4)“利用してみて分かる”メリット例
- 介護する家族が疲労やストレスから解放される時間ができた
- 利用者が施設内のイベントや交流でイキイキし出した
- 安全な環境でリハビリや機能訓練ができた
- 家族の関係が良好になった
(5)行動プラン実践のための5つのアクション
- 担当ケアマネにショートステイの情報を相談し、早めに施設・日程予約する
- 利用前に、地域の介護相談窓口や自治体パンフレットで料金やシステムを確認
- 利用者の体調や希望(好きな食べ物、必要な配慮など)を事前に申し送り
- 利用後は感想や課題点をまとめてケアマネと振り返り、次回に活かす
- 必要に応じて他サービスの組み合わせも検討(デイサービス、訪問支援など)
2. ショートステイの課題と「本当に助かるのか?」
ショートステイは多くの介護家族の救世主ですが、「本当にそれだけで充分なのか?」という疑問も根強くあります。反論の目線で、デメリットや問題点、「利用しにくい」「踏み切れない」事情についても考えていきましょう。
(1)利用ハードルが高い
- 「施設が遠い・空きがない・送り迎えが大変」
→地方や都市部の施設は特に予約が殺到し、思い通り使えないこともしばしば。キャンセル待ちや希望日程に合わせられないと、いざという時に無力感に陥りやすいです。そのため「使いたいけど難しい」と躊躇する家族も多いのが現実です。
(2)利用者本人の抵抗感・環境変化による不安
- 「本人が施設を嫌がる」「環境変化で体調や認知症が悪化した」
→利用者が慣れない場所やスタッフに戸惑い、不安や問題行動、夜間の徘徊などが出る場合があります。結果として「やっぱり自宅が…」とサービス利用自体に後ろめたさを感じてしまうことも。
(3)“家族の罪悪感”問題
- 「親を預けることに罪悪感を覚える」「他人の手を借りるのは忍びない」
→特に長年介護してきた人ほど、自分の手を離していいのだろうか、という想いが強い傾向に。周囲から「冷たい」と言われた経験にショックを受けた話も報告されています。
(4)費用面の負担/制度の限界
- 介護保険の上限を超えた自己負担や、送迎・オプション費用がかかることも。うっかり計画外に利用が重なれば、想像以上の費用が発生しやすい。
- そもそも連続して利用できるのは「最大30日」まで。長期で預かってほしい場合や環境を安定させたい人には、継続的な課題が残ります。
(5)職員不足やサービス質の差
- 地域や施設ごとの差が大きく、「この前は良かったけど今回は…」と当たり外れを感じる家族も。また職員の負担増が原因で十分なケアが届かない瞬間も否定できません。
これらの問題は「使いたくても現実的に使いづらい」「利用中にも新しい悩みが増えてしまう」「結局、家族のストレスは消えないこともある」という側面を強調しています。もし「介護の負担は全て社会で解決できる」と考えるなら、その前に現実の障壁を一つひとつクリアしていく必要があるのです。
3. まとめ:上手な介護とショートステイの賢い活用法
ショートステイをはじめとした介護サービスは、介護する人にもされる人にも「少し休む・ゆとりを持つ時間」を与えてくれる大切な存在です。
しかしそこで「理想と現実のギャップ」「心の葛藤や制度の限界」とも常に向き合うことも必要だと感じます。
一番大切なのは、「完璧を求めすぎず、できる範囲で自分や家族を大切にすること」。疲れたら必ず休む、プロや社会資源を頼る、周囲に相談する。「誰かに迷惑をかけてはいけない」ではなく、みんなが支え合う時代だからこそ、“自分たちだけで頑張らない”勇気を持つことも大切です。
使ってみて「本当に楽になった」「利用者が笑顔になった」という声がある一方、申し込みや本人の不安、費用やサービスの質など課題も確かにあります。でも、「一回やってみる」という選択で分かることもたくさんあります。
これから介護に悩むすべての家族が、その人なりの「ほどよい距離」「新しい関わり方」を見つけていけること――
ショートステイの知識はきっと、その大きな助けになるはずです。「できること」をやさしく重ねながら、あなたもあなたらしい選択で家族との時間をもっと大事にしてください。
◆参照元一覧◆
- 介護サービス情報公表システム https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
- 介護保険最新情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000165142.html
- 全日本病院協会 https://www.ajha.or.jp/index.html
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