松平 盟子 (まつだいら めいこ)
1954年~ 愛知県生まれ。歌人。
南山大学国語国文学科卒業。 国語教師を経て、コスモス短歌会に入会。 1977年、「帆を張る父のやうに」で角川短歌賞を受賞。1980年代前半、河野裕子、道浦母都子、阿木津英らとともに、新しい女歌を模索。新鮮な文体と遊びごころを含んだスキャンダラスな作品で注目を集めた。1990年、『プラチナ・ブルース』で河野愛子賞を受賞。「プチ★モンド」主宰。
松平 盟子 歌集
1979年 歌集『帆を張る父のやうに』 書肆季節社
1983年 歌集『青夜』 砂子屋書房
1989年 歌集『シュガー』 砂子屋書房
1990年 歌集『プラチナ・ブルース』 砂子屋書房
1992年 歌集『たまゆら草紙』 河出書房新社
1996年 歌集『うさはらし』 砂子屋書房
1997年 歌集『オピウム』 短歌新聞社
2003年 歌集『松平盟子歌集』 砂子屋書房
2010年 歌集『天の砂:歌集』 砂子屋書房
2011年 歌集『愛の方舟』 角川学芸出版
松平 盟子 短歌
ぎこちなく撓ひ靡けり満腔の帆を張る父のやうに抱けば 『帆を張る父のやうに』
玻璃窓のくらみあかるむ気配せりまぶたは唇もひかりも受くる
目をつむり髪あらふとき闇中にはだいろゆふがほ襞ふかくひらく
アリナミンよりほほゑみが効くなんて言の葉で妻が喜ぶとおもふか 『シュガー』
いちにちの終はりを熱き湯に抱かれわれは薔薇のごとほぐされやすし
夫ばなれ子ばなれの妙に涼やかな晴れがましさをなびかせ歩む
極細の水性ペンの線描に黒綾織のことばは咲く
チーズに黴、銅器に曇、からだは藍濃淡のこころが潜む
ちゃん付けでわれをよぶ夫やさしさといふより甘つたれの側にて
六月の雲の重なりくらぐらと圧し渡る夜くちなしは咲く 『たまゆら草紙』
恋人の好むホワイトアスパラが皿に香って指に似ている 『うさはらし』
めくりつつなんのかなしみ円かなる千枚漬けのどれも真っ白
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