佐竹 彌生(さたけ やよい)
1933年(昭和8年3月5日)~1983年(昭和58年4月4日) 鳥取県出身。歌人。
昭和26年「青炎」創刊時に入会。文芸誌「鴉」「菱」などに所属。田中大治郎に師事。昭和42年から56年「鴉」会員。歌集に「雁の書」「天の蛍」「なるはた」など。
佐竹 彌生 短歌
さびしさはまぎるかたなく庭に出て火ぞ燃しぬ 火のあまねくさびし 『天の蛍』
睡魔乗る車輪かがやき顕在のわれと昆虫轢かれてゆけり
雪はふり人みな寝ねしゆきぞらの幽き奥処をあゆみゆく星
降りて行く泉の底ひ映りたる貌より汲みし一人の他者
血の鐘の鳴るにぞ秋の爪の上にいのちの泪きらきらとあり
花の哭 雫となりし心にてふときかむとすひるがほのかげ
夜の竿にほのかにひかる鰈あり雪の夜ふけて魚の身は燃ゆ
肉はおもヘば水をまとひてあやしかりわがうつせみに賜りしかな 『なるはた』
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