【中学生】以上に知ってもらいたい短歌。『窪田空穂』

シクラメン

シクラメン

窪田空穂(くぼたうつぼ)

1877~1967年 本名は通治。長野県出身。歌人、国文学者。日本芸術院会員。息子は歌人の窪田章一郎。

東京専門学校(現早稲田大学)文学科を卒業。1900年4月はじめて与謝野鉄幹選の「文庫」に投稿。その年、新詩社に加わり、鉄幹の知遇を得る。鉄幹から勧誘され「明星」にも参加。高村光太郎や水野葉舟らと親交を持った。しかし翌年秋頃から、鉄幹の派手で壮士気取りの志向と昌子の奔放な恋愛の歌ともに共鳴することができず、一年後に退会している。その後、東京専門学校に復学して1904年に卒業。

 

憧憬やある夜おもかげ変らせてわれに白歯の寒きを見せぬ 『まひる野』

生きてわれ聴かむ響かみ棺を深くをさめて土落す時

鉦鳴らし信濃の国を行き行かばありしながらの母見るらむか

君が息やこむれば笛の音と生れ春の夜覚ましたゆたひ遊ぶ

われや母のまな子なりしと思ふにぞ倦みし生命も甦り来る

我が涙そゝぎし家に知らぬ人住みてさゞめく春の夜来れば 『明暗』

朝霜の白きを踏めばこころよしさみしさくさくくづれてゆくに 『濁れる川』

 

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