カラムシ(苧、枲、苎)
「からむし(苧麻)」は、イラクサ科の多年草。学名はBoehmeria nivea。日本や東アジアの一部地域に自生しており、その繊維は伝統的に布や織物の材料として利用されてきました。別名が多く、紵、苧麻、青苧、山紵、真麻、苧麻などがあります。 また、カツホウ、シラノ、シロソ、ソロハ、シロホ、ヒウジ、コロモグサ、カラソなど、多くの呼び名があります。
植物の特徴
- 形態: からむしは多年草で、草丈は1.5メートルから3メートルほどに成長します。葉は対生し、卵形で先が尖り、鋸歯があります。
- 生育地: 山間部や川沿いなど、湿潤な環境を好みます。
利用
- 繊維の利用: からむしの茎から取れる繊維は「苧麻(ちょま)」と呼ばれ、非常に強靭でありながら柔軟性も持っています。この繊維は主に以下のように利用されます。
- 織物: 昔から高級な布地や着物、帯などの伝統的な和服の素材として使われています。
- 工芸品: 細工物や装飾品などの素材としても重宝されています。
- 薬用: 一部の地域では、民間薬として利用されることもあります。
栽培と加工
- 栽培: からむしは比較的育てやすく、寒冷地でも栽培可能です。日本では新潟県や福島県などで伝統的に栽培されています。
- 加工: 繊維を取り出すためには、茎を乾燥させた後、水に浸けて柔らかくし、手作業で繊維を取り出します。その後、繊維を撚って糸にし、織物に加工します。
文化的意義として
- 歴史的背景: 日本では古くから「からむし」は重要な繊維作物として位置づけられており、平安時代にはすでに衣料品の素材として利用されていました。
- 地域文化: 特に新潟県の「越後上布」や、福島県の「会津木綿」など、地域ごとの特産品としても知られています。
からむしの繊維はその丈夫さと独特の風合いから、現代でも工芸品や高級織物の素材として高い評価を受けています。また、エコロジカルな観点からも注目され、持続可能な資源として再評価されています。
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