『高齢者』虐待とは
平成18年4月から、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援に関する法律」が施行されました。
高齢者を実際に介護している介護者などによる高齢者の「人としての尊厳」を傷つける人権侵害行為です。
虐待は殴る蹴るなどの暴力を振るう行為だけでなく、無視をしたり侮辱したりまた介護が必要な高齢者を放置したり、さらには高齢者の財産を奪うことも含まれます。
高齢者の方々が一人の人間として尊重され、その人らしく生活できる状況を侵害するような行為が高齢者虐待なのです。
5つの虐待
虐待には5つの種類があります。
- 身体虐待(身体に外傷が生じるおそれがある暴力)
- 介護・世話の放棄・放任(養護を著しく怠る等)
- 心理的虐待(暴言等による心理的外傷を与える)
- 性的虐待(高齢者にわいせつな行為等をする)
- 経済的虐待(高齢者の財産等を不当に処分する等)
主な虐待のサイン
回復状態が様々な段階の傷、アザ等がある。
「怖いから家に行きたくない」等の訴えがある。
傷やアザの説明のつじつまが合わない。
2.ネグレスト(介護等、日常生活上の世話の放棄、拒否、怠慢)のサイン
居住部屋や住居が極めて非衛生になっている。また異臭を放っている。
適度な食事を準備されていない。
栄養失調の状態にある。
疾患の症状が明白にもかかわらず、医師の診断を受けていない。
昼間でも雨戸が閉まっている。
3.心理的虐待(暴言等による心理的外傷を与える)のサイン
かきむしり、噛みつき、ゆすり等が見られる。
怯える、わめく、泣く、叫ぶなどの症状が見られる。
体重が不自然に増えたり減ったりする。
4.性的虐待(高齢者にわいせつな行為等をする)のサイン
不自然な歩行や座位高を保つことが困難になる。
生殖器の痛み痒みを訴える。
人目を避けるようになり、多くの時間を一人で過ごすことが増える。
5.経済的虐待(高齢者の財産等を不当に処分する等)
年金や財産収入とがあることは明白なのにも関わらず、お金がないと訴える。
経済的に困ってないのに、利用負担のあるサービスを利用したがらない。
お金があるのにサービスの利用料や生活費の支払いができない。
早期発見のために
高齢者虐待を食い止めるには、早期発見と介護者支援が大切です。
様々な虐待で介護を受ける高齢者だけでなく、家族も悩み苦しんでいるケースもあります。介護を担っている介護者を支えるための、気づきのためのものです。
サインが一概に虐待とは言い切れませんが、深刻な状況になることを防ぎ、高齢者や介護者を支えるため、地域の皆様の力も不可欠です。決めつけや偏った価値観で批判等をしないよう、十分な配慮も必要となります。
高齢者虐待の早期発見に役立つ12のサイン
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- 身体に不自然な傷やアザがあり、(高齢者自身や介護者が)説明もしどろもどろ
- 脱水症を甘くみることは禁物。十分な水分補給が必要→家族が意図的に高齢者の水分補給を制限しているなどが想定される場合
- 部屋の中に衣類、おむつ、食べかけの食事、食べ残しが散乱
- 外で食事するとき、一気に食べてしまう→高齢者自身が自分で食事の準備をしたり、食べたりできない場合
- 必要な薬を飲んでいない、服薬の介助をしていない
- 強い無力感、抑うつ、あきらめ、投げやりな態度が見られる
- 落ち着きがなく、動き回ったり異常によくおしゃべりする→認知症高齢者で、自傷行為や体の揺すり、指しゃぶり、かみつき、不定愁訴や言葉の繰り返しなどの落ち着きない状態がある場合
- 「年金をとりあげられた」と高齢者が訴える→十分な年金収入があるにもかかわらず、生活費に困窮したり、身に覚えのない借金の取立てが来るなど
- 高齢者を介護している様子が乱暴に見える
- 家族が福祉・保健・介護関係の担当者を避ける
- 家の中から、家族の怒鳴り声や高齢者の悲鳴が聞こえる
- 天気が悪くても、高齢者が長時間、外にたたずんでいる、あるいは昼間、姿を見かけなくなった、窓が閉まったままなど→この状態が継続する場合
出典:財団法人厚生労働問題研究会「早期発見に役立つ12のサイン」
虐待かな?と感じたら
高齢者虐待防止法では、高齢者の福祉に業務上関係のある団体や職員などは、高齢
者虐待の早期発見に努めなければならないとされています(第 5 条)。また、高齢者
虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに通報しなければならない
(または通報するよう努めなければならない)とされています(第 7 条)。
住民及び関係機関に対して通報(努力)義務の周知を図り、問題の早期発見につな
げることが重要です。
とあります。
まずは、市町村の地域包括支援センターに相談、連携し、早期発見の高齢者虐待の防止チーム作りが重要になります。
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