心理カウンセラーが教える生きやすい人生の作り方~
心理カウンセラーの野口嘉則さんによる『自分を好きになれない君へ』という本を紹介します。この本は、自分自身を受け入れることに悩む多くの人たちに、新しい視点と希望を与えてくれる素晴らしい一冊です。
なぜ今この本なのか
現代社会では、SNSの影響もあり、自分と他人を比較してしまいがちです。「もっと頑張らなきゃ」「自分はダメな人間だ」という否定的な考えに囚われている人も少なくありません。そんな中で、この本は私たちに大切なメッセージを投げかけています。
自己受容という考え方
著者は、自己肯定感を高めることよりも、まず自己受容が大切だと説きます。自己受容とは、自分の感情や状態をありのまま受け入れること。良い面も悪い面も、全てを包み込むように受け入れる考え方です。
例えば、テストで失敗して落ち込んでいるとき。従来の自己啓発的なアプローチでは「次は頑張ればいい」と励ましがちです。しかし、本書では「今、悲しいんだね」「落ち込んでいるんだね」とその感情をまずは受け入れることを推奨しています。
印象的な3つのメッセージ
1.【親の過保護と自己受容の関係】
著者は、過保護や過干渉が子どもの自己受容を妨げる可能性を指摘しています。「こうあるべき」という枠にはめられすぎると、自分の本当の感情や欲求に蓋をしてしまいがちになるからです。
2.【感情の抑圧について】
感情を無理に押さえつけても、それは消えません。むしろ、悲しい時は悲しみを感じ、寂しい時は寂しさを味わう。そうすることで、自然と感情は和らいでいくのです。これは、とても現代的な心理学の知見とも一致します。
3.【逃げることの意味】
「逃げることは選択肢の一つ」と明確に述べています。逃げる時の自分を否定せず、「今、怖いんだね」と受容することが大切です。特に、学校や仕事の問題に直面したとき、この視点は重要な意味を持ちます。
実践的なアドバイス
自己受容を実践するための具体的なステップも提示されています:
- 感情日記をつける
- その日感じた感情をありのまま書き留める
- 判断や評価はせず、ただ記録する
- 自分との対話を持つ
- 鏡を見ながら自分に優しく話しかける
- 「よく頑張ったね」「つらかったね」など、共感的な言葉を使う
- 「べき」を手放す
- 「こうするべき」という思考から離れる
- 自分の本当の気持ちに耳を傾ける
個性と自分らしさについて
特に印象的なのは、個性や自分らしさについての考察です。著者は、自分らしさを必死に探す必要はないと説きます。人と同じことをしていても、自然とにじみ出てくるものこそが本当の個性だというのです。
これは、現代社会で多くの人が感じている「個性的でなければ」というプレッシャーを解放してくれる視点です。あなたの選ぶ道が、そのままあなたらしさなのです。
読者への実践的なアドバイス
- 朝の5分間瞑想
- 静かな場所で目を閉じる
- 浮かんでくる感情をただ観察する
- 感情の命名練習
- 感じている感情に具体的な名前をつける
- 「モヤモヤ」を「不安」「焦り」など具体化する
- 自己受容の言葉集め
- 自分を受け入れる優しい言葉をリストアップ
- 必要な時に見返せるようにメモしておく
まとめ
『自分を好きになれない君へ』は、現代を生きる私たちに重要なメッセージを届けています。それは、完璧を目指す必要はないということ。自分の感情や状態をありのまま受け入れることから、本当の意味での成長が始まるのです。
自己受容は、決して自分を甘やかすことではありません。むしろ、自分との正直な向き合い方を教えてくれる賢明な態度です。この本は、そんな自己受容への第一歩を優しく導いてくれる道しるべとなっています。
著者の言葉 本文からの引用
◎親の過保護過干渉が自己受容を妨げる
大切なのは、失敗して落ち込んだり傷ついたりしている時に「落ち込んでいるんだね、傷ついているんだね」と、ありのままに受容してもらうことです。◎受容できない 感情はどうなるのか
感情を抑圧して蓋をしても、その感情は消えてなくなることはありません。感情を無理に押さえつけるのではなく、悲しい時は悲しむ、寂しい時は寂しさを味わえば、それらの感情は時と共に和らいでいきます。そして、心の傷も癒されていくのです。◎つらかったら逃げていい
逃げるというのは立派な選択肢の一つです。そして、逃げる時には怖がっている自分を否定せずに受容してみてください。「今、怖いよね。そうだよね」と自分に語りかけてみてください
学校に行く、行かない、などということで、あなたの価値は何一つ変わらないということです。学校に行かなかったからといって、あなたという存在の価値は1ミリも下がったりしないのです。◎自分らしさとは何か
自分らしさということを、焦って探し求めなくてもいいということです。たとえ、人と同じことをやっていても、自然とにじみでてくるもの、それが個性であり、自分らしさです。
あなたがどんな生き方をしようが、どんな仕事を選ぼうが、自然に立ち現れてくるもの。 それがあなたらしさであり、あなたの個性です。
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