【秋の短歌】『18選』知っておきたい古典~現代短歌!

紅葉

紅葉

秋について

 

秋は、日本の四季の中でも特に美しい季節とされています。太陽暦では9月から11月までを秋とし、天文学上は秋分から冬至までの期間を指します。この時期になると、夏の強い日差しが徐々に和らぎ、太陽は次第に南へと移動していきます。それに伴い、日中の時間は短くなり、夜が長くなるのが特徴です。9月初旬から10月初旬にかけては台風が訪れることもあり、気候が不安定な時期でもありますが、やがて秋晴れの日々が多くなり、澄み切った青空が広がることが増えていきます。

秋といえば、実りの季節としても有名です。田んぼでは稲穂が黄金色に輝き、収穫の時期を迎えます。栗や梨、葡萄など、秋の果物が旬を迎え、豊かな実りが感じられる季節です。また、山々では紅葉が美しく染まり、赤や黄色に彩られた風景が広がります。この紅葉は秋を象徴する風物詩として、多くの人々に親しまれています。

そして、紅葉が終わり、木々の葉が落ち始めると、季節は冬へと移り変わります。秋は、自然がゆっくりと冬の準備をする時期であり、過ぎゆく時間の流れを感じさせる季節です。四季の中でも、秋は物寂しさと同時に実りの喜びを感じられる、特別な季節として多くの詩人や作家に愛されてきました。

詩歌の秋

詩歌が秋の到来が表す言葉として「秋風」が使われます。季節の変化を風で表現するのも秋の特徴です。

また、秋はアキという音から「飽き」に通じるので、男女の関係が冷えてくることを暗示する表現として「秋」の語を使ったりします。

秋の短歌

馬追虫うまおひの髭のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想ひ見るべし  長塚節

更にきびしく更にはげしく生くべしと骨にひびきて秋鳴りにけり  斎藤史

もの言へば声みな透る秋日ざしわれの怒りもはかなくなりぬ  中城ふみ子

処女にて身に深く持つ浄きらん秋の日吾の心熱くす  富小路禎子

ゆく秋の大和やまとの国の薬師寺のたふうへなるひとひらの雲  佐佐木信綱

白玉しらたまの歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ  若山牧水

かすが野に押してるつきのほがらかにあきのゆふべとなりにけるかも 会津八一

ざわざわとゐし斑猫の失せてより秋天二十日晴れきはまれる  石川不二子

ゆく秋の川びんびんと冷え緊まる夕岸を行きしずめがたきぞ  佐佐木幸綱

秋といきものの牙夕風きばふゆかぜなかより見えて淋しかりけり  与謝野晶子

かつかつと秋は空さへひびきつつわがはらわたも乾くなるベし  斎藤史

ぞろぞろと鳥けだものをひきつれて秋晴の街にあそび行きたし  前川佐美雄

わが抱く思想しさうはすべて/かねなきにいんするごとし/秋の風吹く  石川啄木

秋立ちて幾日いくかもあらねばこのぬる朝明あさけの風は手本寒しも  安貴王

秋きぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる  藤原敏行

おしなべて物をおもはぬ人にさへ心をつくる秋のはつ風  西行

秋立あきたつはみづにかもる/あらはれて/おもひことごとあたらしくなる  石川啄木

手を洗ふ水つめたきに今朝の秋や身をかえりみてつつましくあり  木下利玄

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