松倉 米吉 (まつくら よねきち)
1895年~1919年 新潟県生まれ。 歌人。
水車業の次男に生まれる。早く父を失い、12歳の頃に高等小学校を中退し、母のあとを追って上京し、本所(現墨田区)に住み、金属メッキ・金属挽物職人などで働く。古泉千樫に師事。1913年、アララギに入る。1916年、労働生活のなか肺結核となる。1919年、恋人もできますが、重い肺病と診断され、築地の施療病院で23歳の生涯を終えます。
遺稿集に「松倉米吉歌集」
松倉 米吉 歌集
1920年 「松倉米吉歌集」
1955年 「松倉米吉全集」
松倉 米吉 短歌
嵐の中の人のさけびに目醒めけり夜ごとに血を喀く時刻の来れる 『松倉米吉歌集』
命かぎるやまひをもちてさびしもよ妹にかそかに添寝をしつつ
菓子入にと求めて置きし瀬戸の壺になかばばかりまで吾が血たまれる
かび臭き夜具にながながこやりけりこのまゝにしていつの日癒えん
救世軍の集りの唱歌も今宵寂しひそひそと降る秋雨の音
極まりて借りたれば金のたふとけれあまりに寂しき涙なるかも
かうかうと真夜を吹きぬく嵐の中血を喀くきざしに心は苦しむ
工場に仕事とぼしも吾が打つ小鎚の音は響きわたりぬ
土ぼこりかすかなるかも電車道すれすれに舞ふ黄色き胡蝶
冬ふかき曇りの中のおどろなる心をこらへて轆轤をふむも
わが握る槌の柄減りて光りけり職工をやめんといくたび思ひし
吾の身の吾がものならぬはかな日の一年とはなりぬ日暮待ちし日の
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