伊藤保 (いとうたもつ)
1913~1963年 大分県出身。昭和時代の歌
二十歳の春に、ハンセン病を発病。熊本県の菊池恵楓園に入り、作歌を始める。1934年「アララギ」に入会。斎藤茂吉、土屋文明を師事。同じ時期に津田治子も療養生活を送っている。二人はアララギ派を代表する療養歌人として活躍。
伊藤保は菊池恵楓園で30年を過ごし50歳で逝去。
伊藤保 短歌
◎起き直り胸の湿布を替へゐれば花芽の櫟に頬白の鳴く
◎戦争に力かさざりしとは何を言ふ木の葉を繃帯に巻き堪へて来にしを
◎降り出でし雪にあかるき松原に声つつしみて吾を呼ぶきみ
◎わが庭の草にかかりて吹かれゐる鉋屑ながく生なましかり
◎吾子を堕ろしし妻のかなしき胎盤を埋めむときて極りて嘗む
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