1996年初版、西村晃さんの著書『「ポスト・イット」知的生産術』をご紹介します。「え?ただの付箋でしょ?」そう思われるかもしれません。でも、この本には目から鱗が落ちるような知恵が詰まっているんです。
■なぜ今、ポスト・イットなのか?
デジタル全盛の現代に、なぜ紙の付箋?そう思われる方も多いはず。でも、実は最先端企業のグーグルやアップルでも、アイデア出しにポスト・イットを活用しているんです。
著者の西村さんは、あえて「黄色一色」「一つのサイズ」だけを使うことを提案しています。これには深い理由があるんです。
■シンプルこそ最強の秘訣
著者が強調するのは、「使い分けること」より「使いこなすこと」の重要性です。色分けやサイズ分けという複雑なシステムは、結局続かないことが多いんです。
私も実際に試してみました。最初は「赤は緊急、青は継続…」なんて色分けを始めたものの、2週間も経たないうちに挫折。でも、黄色一色に戻してからは、むしろ効率が上がったんです。
■なぜ一色がベストなのか?
- 考える時間の削減
- 色選びに迷う時間が不要
- 即座にメモを取れる
- 思考の中断を防げる
- 整理がしやすい
- 情報の優先順位は後から付けられる
- グルーピングが直感的
- 視覚的な情報過多を防げる
- 継続のしやすさ
- シンプルなルールは続けやすい
- 補充も一色だけで済む
- 管理が楽
■驚きの「一日百枚」という目標
著者は「一日百枚の情報収集」を提案しています。「えっ、百枚も!?」と驚かれるかもしれません。でも、これには重要な意味があるんです。
仮に百枚のうち10枚だけが仕事に活かせたとしても、それは大きな価値があります。なぜなら:
- 些細なアイデアも逃さない
- 量が質を生む
- 思考が活性化される
- 新しい発想が生まれやすい
■同時並行処理のすすめ
著者が提案する画期的な方法が「同時並行処理」です。
従来の方法:
「集中して一つのことを考えよう」
↓
「アイデアをまとめてから書こう」
↓
「順序立てて整理しよう」
新しい方法:
「思いついたらすぐメモ」
↓
「脈絡は気にしない」
↓
「後からグルーピング」
この方法のメリット:
- 思考の途切れを防げる
- アイデアを逃さない
- 整理は後からでOK
- 柔軟な発想が生まれる
- ストレスフリー
■実践的な活用術
【朝の情報整理】
- 昨日のメモを確認
- 今日すべきことを抽出
- 優先順位をつける
【日中の活用】
- 会議でのメモ取り
- ひらめきの記録
- タスク管理
【夜の振り返り】
- その日の気づきを整理
- 明日への準備
- 重要事項の抽出
■意外な活用法
- 読書メモ
- 印象的なフレーズを記録
- 自分の解釈を書き添える
- 後で見返しやすい
- 目標管理
- 短期目標を視覚化
- 進捗状況の確認
- モチベーション維持
- アイデア発想
- ブレインストーミング
- マインドマップの作成
- プロジェクト管理
■まとめ:シンプルだからこそ続く
この本から学べる最大の教訓は、「シンプルさこそが継続の鍵」ということです。
複雑なシステムや最新のデジタルツールも素晴らしいですが、誰もが持っている「ポスト・イット」一色で十分な効果が得られるんです。
大切なのは:
- まずは始めること
- シンプルに続けること
- 自分なりの使い方を見つけること
私は10年ほど前から黄色の一色のポスト・イットを使い続けています。今でも最高のツールのひとつです。
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